高機能マットレス:「熱のこもり」を解消し、快適な睡眠を科学する
「熱帯夜、マットレスに熱がこもって寝苦しい…」
多くの人が経験するこの不快感は、睡眠の質を大きく左右します。人間は、体温が少し下がることでスムーズに深い眠りに入ることができるため、特に温暖な気候において、マットレスの熱管理は非常に重要です。
この課題に対し、近年ではマットレス自身が温度を調節する「高機能マットレス」の開発が進んでいます。
課題:どの冷却システムが最も効果的か?
南京林業大学で行われた研究では、冷却機能を持つ2種類のマットレスの性能を比較評価しました。
ウォータークッションを内蔵したマットレス
内部のパイプに冷却水を循環させるマットレス
どちらも寝ている人の体から熱を奪い、快適な温度を保つことを目指していますが、問題は「どちらがより効率的に表面を冷やせるか?」です。
解決策:熱流束センサーで「熱の移動」を正確に測定
研究チームは、マットレスの各層の間で、熱がどのように移動し、どれだけ失われるかを正確に測定するために「熱流束(ねつりゅうそく)センサー」を使用しました。
センサーを設置することで、冷却システムが生み出した「涼しさ」が、途中の層で妨げられることなく、きちんと人体に接する最上層まで届いているかを分析できます。
イラスト: Nanjing Forestry University in China.
結果:データが示した、より高性能な冷却構造
熱流束センサーによる精密な測定の結果、ウォータークッションを内蔵したマットレスの方が、パイプ循環式に比べて冷却性能に優れていることが明らかになりました。
このような熱の移動に関する正確なデータは、単なる体感や表面温度の測定だけでは得られません。この研究は、熱流束という指標を用いることで、より快適な睡眠環境を提供するマットレス開発に、科学的な根拠と新しいアイデアをもたらした好例と言えます。