熱流センサ【アプリケーション事例:1】

スマートウォッチ:消費カロリー計測の精度向上

多くのスマートウォッチには、健康管理のための消費カロリー計算機能が搭載されています。しかし、この計算は主に心拍数に基づいており、ウォーキングのような強度の低い活動では、実際の消費量とズレが生じやすいという課題がありました。

「もっと正確にエネルギー消費量を知ることができれば、食事や運動の管理も変わるはず」。

そこで、この課題を解決するために「熱流束センサー」を使って、より正確にエネルギー消費量を測定する研究が行われました(IEEE発表)。研究では、15人の被験者が特製のブレスレットを装着し、運動時のデータを計測しました。

熱流束センサー、皮膚温度センサー、相対湿度センサーという主な測定部品を示す特注ブレスレットのイラスト。
Photo: IEEE

計測の仕組み

このブレスレットには、熱流束センサーや皮膚温度・湿度センサーが内蔵されています。装着者の手首からブレスレットへ直接伝わる熱(伝導)、ブレスレットから空気中へ逃げる熱(対流・放射)、そして汗の蒸発による熱の放出を捉え、総合的な熱の移動量を測定します。

テーラーメイドのブレスレットを装着した被験者

結果

研究の結果、従来からの心拍数データに熱流束の測定値を組み合わせることで、エネルギー消費量の推定精度が大幅に向上することが確認されました。特に、これまで正確な測定が難しかった低強度の活動において、その有効性が示されたのです。

この結果から、研究者たちは今後のスマートウォッチなどのウェアラブル機器に熱流束センサーを搭載することを推奨しています。これにより、ユーザーは日々の活動における、より信頼性の高いエネルギー消費データを得られるようになります。

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