概要
路面状態センサーRWS10は、正確な道路路面状態の判別及び基本的な道路気象測定を網羅したコンパクトなシステムです。本製品は、冬季の道路メンテナンスを最適化するためのツールとして設計され、今までの路面状態センサーと同等のパフォーマンスを発揮しつつ、低価格での生産を実現しました。機器は道路沿いにある既存のポール等に設置でき、路面の状態や摩擦係数をリアルタイムで把握することができます。また、設置自体も簡単で、既存のマストへの設置であれば1時間もかからず設置することができます。
水・氷層の厚さをミリ単位で最大5mmまで測定し、その測定した路面状態や水・氷の膜厚の情報を使って摩擦係数を推定します。測定結果はサーバーに送られ、すべてのデータはオンラインで閲覧することができます。また、測定データは、他のデータ管理システムに統合することができます。
測定項目
- 路面状態(乾燥、湿潤、濡れ、シャーベット、雪または霜、凍結)
- 水膜厚、氷膜厚
- 摩擦係数
- 路面温度
- 露点温度
- 気圧
- 気温
- 地中温度(推定値)
- 風速
低メンテナンス設計
- ソリッドステート設計により、消耗部品なし
- 定期的なメンテナンスはレンズクリーニングのみ
- RCM内蔵制御ユニットでファームウェアとセンサーパラメータの遠隔アップデートをサポート
測定原理
RWS10に搭載されているRCM411Rセンサは、路面に赤外線を照射し、光の反射を測定します。路面を水や氷が覆っている場合、反射される光は校正値と比較して減衰したものになります。これは水や氷により赤外光が吸収されるためです。信号の減衰の程度は氷や水の量に依存するため、反射量を解析することで路面状態を把握することが可能となります。雪はスペクトル上で氷として見え、硬い氷と区別することができます。測定データの解析は、センサーのマイクロプロセッサーで実行されます。
路面温度と露点温度の重要性
RWS10では路面温度と露点温度(温度と相対湿度からの演算値)の計測を行います。露点温度は今まで道路気象ではあまり重要視されておりませんでしたが、道路の放射冷却現象などで路面温度が気温より低くなり路面温度が露点温度に到達してしまうと、降水がなくても路面は結露し湿潤、濡れとなります。もし露点温度がマイナスの場合は霜になり、凍結状態になることも出てきます。凍結路面がブラックアイスバーン状態になると目視では凍結の判断が難しく、ドライバーにとって危険な状態になってしまいます。よって路面温度と露点温度のモニタリングは非常に重要なポイントになります。
仕様
スクロールすることができます
測定 | RCM411Rセンサ(路面状態、膜厚)、RTD411センサ(路面温度、大気温度、露点、大気圧) |
寸法 |
【RCM411】 長さ:100 mm 直径:75 mm 重量:750 g (センサ部分のみ) 長さ:約500 mm 直径:約115 mm (保護管含む) 【RTD411】 200×120×80 mm 重量:500 g(シールド部分除く) 約360×170×96 mm (シールド含む) |
電源 | 9~30 VDC |
消費電力 | < 10 W |
動作温度範囲 | -40~+60℃ |
厚み分解能 | 0.01 mm (0~5 mm範囲)(水膜厚、氷膜厚) |
厚み精度 | 水の膜厚1.0 mm以下 0.1、 1.0 mm以上 10 % |
摩擦分解能 | 0.01 |
摩擦精度 | 0.10(制動摩擦基準値に対する標準偏差として) |
出力 |
RCM内蔵ユニットへのRS-232シリアル接続
【出力項目】 路面状態(乾燥、湿潤、濡れ、シャーベット、雪または霜、凍結)、水・氷膜厚、摩擦係数、路面温度、露点温度、気圧、気温、地中温度(推定)、風速 |
設置 | 木製ポール、金属製ポール、その他適切な固定場所への設置 |
ユーザーインターフェース | データはサーバーへ転送され、路面マップ上で閲覧可能 |
路面状態マップ
測定された結果はサーバーに送られ、すべてのデータはオンラインの路面状態マップで閲覧することができます。下図は、路面状態マップのデータ表示画面です。表示されているパラメータは路面状態(乾燥、湿潤、濡れ、シャーベット、霜、雪、凍結)が色でわかるようになっています。摩擦係数などの測定値は画面下部のグラフに表示されています。
機器をご購入いただいたユーザにはIDとパスワードが提供され独自の画面にてデータの管理が可能になります。サーバ使用は無償にてデータの記録、表示が行えます。
システム構成図
ユーザのニーズに合った構成が構築できます。
タイプA :スタンドアロンでの使用、または既存システム受信装置へのデータ転送
タイプB :標準構成 Teconer社のクラウドサーバへデータ転送し、Web画面でデータ表示(APIでの通信可能)
タイプC :ユーザのデータサーバへデータ転送
ユーザ殿のご希望に合わせた、システム構築のご提案をいたします。またデモ機の貸し出しレンタルをいたします。詳細はお問い合わせください。
Teconer社について
Teconer社はフィンランドに本社を置く光学式センサーに特化した、道路気象計測専門メーカです。センサーの開発責任者は長年大手気象メーカにて光学式路面状態計の状態検知アルゴリズムの開発を手掛けておりました。その後Teconer社において、従来型の路面状態検知センサーの性能を上回る精度の高い製品を低価格での生産を実現いたしました。またTeconer社は製品開発とともに路面の摩擦係数と路面凍結防止薬剤の散布濃度の相関関係から、薬剤散布の最適化の研究も行っており、従来より大幅に薬剤散布の量を減らすことを可能にする試験結果などを発表しております。
また、Teconer社はイギリスTRL (Transport Research Laboratory)での路面状態検知センサーの性能比較試験において、現在販売されている各メーカの路面状態検知センサの中でも非常に優れたパフォーマンスを発揮すると評価されています。