C-REM-PA-XS
ドップラーソーダー C-REM-PA-XS/C-REM-PA-XS-200
概要
PA-XSソーダは、最新のハードウェア設計を採用しSMC技術の採用でより小型化されたドップラーソーダです。コンピューター部分には、16ビットA/DコンバーターボードにプラグインされたARMクアッドコアCPUが使用されています。
アンテナの下に配置されている、すべてのハードウェアは 軍用仕様(-40~+60℃、相対湿度100%以下)に適合し、ワイヤレスモデムまたは衛星接続が可能です。
低消費電力の為、太陽光発電での稼働が可能になります。また重量もライダーなどに比べかなり軽量なため、運搬にかかる労力を低減できます。無電源地帯での使用に適しています。
本体にはGPS、2D傾斜計、圧力、温度、湿度の測定が含まれています。
特徴
- 計測高度400m(大気の状況による)
- 最低高度10m
- マルチ周波数コーディング
- ARMクアッドコアCPUとlinuxオペレーティングシステム
- 消費電力10W
- 総重量7kg(本体のみ)
- GPS、2D傾斜計、圧力、温度、湿度センサー
- リモートコントロール用ワイヤレスモデムおよび/または衛星端末接続可能
使用アプリケーション例
- 風力発電及び発電プラントのアセスメント
- 環境調査
- ウインドシェアの検知
- 汚染物質拡散解析のための地域風調査
- 陸上及び海上の風の観測
- 気象観測及び調査
- 戦術気象観測
ドップラーソーダーの測定の仕組み
ドップラーソーダは魚群探知機で使用されるソナーと同じく非常に高感度です、ソナーが魚などの目標を探知する代わりに、ドップラーソーダは上空の空気自体の小規模な温度差によって「後方散乱」反射される信号の周波数の変化から風向風速を計測します。
空気は移動しているため、後方散乱された信号周波数は、放射された信号周波数と比較して移行します。これはいわゆるドップラー効果と呼ばれるもので、車がクラクションを鳴らしながら通り過ぎるときに聞こえる周波数のズレのようなものです。あるビーム軸に沿ってドップラー周波数を測定すると、対応する半径方向の風速が測定できます。
風は3次元なので、アンテナから3つの異なる方向に沿って測定する必要がありますが、実際には5本のビームを使用します。
測定を高速化するため、各垂直面において、1つの傾斜ビームとその対称ビームに沿って順番に放射を行い、受信した信号を同時に処理します。
さらに、垂直面において傾斜ビームとその対称ビームに沿った半径方向の風速は係数が等しく、符号が反対である必要があり、これは非常に強力な検証基準として使用されます。
アンテナが固定されている為、音響ビームの傾斜はフェーズドアレイアンテナの行間、または列間の位相シフトによって実現されます。
スクロールすることができます
ビームの仕組み | フェーズドアレイ |
メリット
・低コストで高耐久性です。(REMTECのソーダは原子力発電所で20年以上にわたり緊急対応のために昼夜を問わず稼働しているシステムです。)
・最良のソフトウエアによりハードウェアの最小化と信頼性の高い設計は可能になりました。
・毎年の点検や校正は不要です。(最小限のメンテナンスで十分です。アンテナを落ち葉や破片から時々掃除。ベロクロで留まっている音響フォームをで2~3年ごとに剥がして交換します)。
・消費電力が少なく、ソーラーパネルによる電力供給が可能です。最小のモデルのPA-XS では、アンテナが非常に小さい (24×24 cm) ため、小型の太陽光発電システムを使用して凍結や降雪防止ヒータを使用することが可能です。
・同様の高度範囲計測モデルの中でも、REMTECH社のソーダーは軽量で、PA-XS および PA-0 はハンドキャリーが可能です。重量が重い物構成になっても20kg以下です。
・ソーダーは小規模な温度乱流に敏感であるため、高度層ごとに気温失効率を提供する技術を開発しました。そのレベルで温度を測定し段階的に統合することで完全な温度プロファイルの取得が可能になりました。この手法を使用することにより、風速乱流と後方散乱には高い測定精度の計測を行う事ができます。ソーダーの中でこの方法を適用できるのはREMTECHのみです。
使用環境での注意点
・ドップラーソーダの為、計測時に音が出ます。
仕様
型式 | C-REM-PA-XS | C-REM-PA-XS-200 |
平均高度範囲* | 400m | 200m** |
最低高度 | 10m | |
アンテナ重量 | 2.0kg | |
電子ケース重量 | 3.1kg | |
アンテナ寸法 | 24 cm(L) x 24 cm(W) x 4 cm(H) | |
電子ケース寸法 | 20 cm(L) x 20 cm(W) x 15 cm(H) | |
総重量(アンテナ、電子ケース、付属品) |
7.3kg | |
中心周波数 | 5.5khz | |
動作周波数 | 2つのコプレーナー・ビームそれぞれで最大9つの周波数を放射 | |
音響出力 | 5W | |
測定距離・dBA*** | 10m:75dB | |
20m:69dB | ||
50m:59dB | ||
100m:50dB | ||
200m:39dB | ||
動作条件 | -40℃~+60℃(最大相対湿度100) | |
CPUとRAMメモリー | ARMクアッドコア、1GB | |
消費電力 | 0.40 A 24 VDC (9.6 W) | |
オペレーティングシステム | Linux | |
* )40dBA、気温15℃、相対湿度70%条件下での範囲になります。 **)PA-XS-200は平均高度範囲ではなく、最高高度範囲です。 ローカル・リモート・コントロール用に、パソコンが付属しています。 |
FAQ
雨による計測への影響は?
ドップラーソーダメーカーのウェブサイトや論文に見られる内容とは反して、実際の雨による影響は雨滴がアンテナ受信機に衝突することで発生する音響雑音だけです。雨滴のサイズは音の波長よりもはるかに小さいため、雨滴の落下速度はソーダでは検出されません。しかし、湿度の高い環境では、電源の50Hzもしくは60Hzの高調波により、設計が不十分なドップラーソーダでは誤った落下速度を示します。
前述したように、雨は音響雑音を発生させるため、ある限度を超えると、ドップラーソーダは測定値を出さなくなります。大気条件や製品モデルによりますが、REMTECH社製ドップラーソーダは通常、降水量1cm~2cm/hが測定するための上限となります。
雪や霧の影響は?
雪片は雨滴よりもかなり大きいため、ドップラーソーダで検出されます。さらに、雪片がアンテナに衝突すると音響雑音が発生しますが、無視できる程度です。また、雰囲気とは異なる温度になることで後方散乱の反響が強くなります(反響はわずかな局所的な温度差によるものです)。吹雪の場合は、2~3時間の加温が必要になる場合がありますが、ドップラーソーダは降雪時の測定が可能です。
霧については、小規模な熱乱流と関連しているため、ドップラーソーダの測定は可能です。
環境騒音の影響は?
周囲の環境騒音が増加すると、空気からの後方散乱信号と受信する周囲の環境騒音のS/N比が劣化します。ある騒音レベルを超えると、有効な信号検出ができなくなります。通常、REMTECH社製ドップラーソーダは65dBAまで測定が可能です。
グラウンドクラッターの影響は?
REMTECH社製ドップラーソーダのアンテナは、メインローブとサイドローブの間でほぼ50dB(振幅比300)の指向性を実現していますが、付近の障害物(樹木、建物、気象タワーなど)に向かって小さなエネルギーが放射されます。このエネルギーは可聴音を発生させます。
障害物は空気よりもはるかに効率的に音響エネルギーを反射するため、グラウンドクラッターは大気によって後方散乱される有効な信号同等か、それ以上に強くなる可能性があります。
REMTECH社では数十年にわたり、グラウンドクラッターを高いレベルまで抑制する信号処理を改良してきました。REMTECH社製の機器は、障害物の高さと等しい水平距離への対応が可能です。加えて、グラウンドクラッターの許容限度を超えた場合(例えば、近くに大きな建物があるなど)、データファイルのヘッダーに表示されます。
強風時の影響は?
強風はもちろん強い地上風と関連しています。これらは空気力学的に高い周辺雑音を発生させるため、高度範囲を狭め、極端な場合には測定ができなくなります。REMTECH社は、音響アンテナの上方で流れを迂回させ、同時に乱流を減少させるように設計した音響エンクロージャーを開発しており、地上で最大15m/sまで、それ以上の高度では最大30/40m/sまで測定が可能となります。
データ取得方法は?
アンテナ下に小型電子機器/コンピューターケースが固定されており、この中にあるSSDにデータが保存されます。製品にはノート型PCが付属しますので、有線もしくはWi-Fi接続でデータ回収が可能です。リモート回収の場合は、ワイヤレスモデム接続もしくは衛星回線の2つのオプションがあります。
データはテキストモード(ASCIIコード)で保存され、エクセルに簡単にインポート可能です。「WindPro」のような専門ソフトウェアと互換性のあるアプリケーションソフトも無償で提供しています。
測定場所と注意点は?
音を使用しての測定になるため、下記場所で行うと測定に支障をきたす可能性がございます(65/70dBA’sを超えないことを推奨します)。1つのビームの下一桁が5dBを超える場合、ノイズ源の影響を受けている可能性が非常に高いです。
1 | 音を発生させる可能性がある場所 | 樹木、電話線、電線、フェンス、気象観測タワー |
2 | エコーを反射する可能性のある場所 | 建物、タワー、丘 |
3 | 大きな電界や磁界が発生する場所 | 大電力変圧器 |
4 | 固定された騒音源がある場所 | エアコン |
REMTECH社について
REMTECH社は1982年にフランスとアメリカを拠点に設立され、大気境界層の優秀な物理学者とエンジニアのチームによって設立されました。革新的で信頼性が高く、お客様にも使いやすい最新機器を開発しており、ドップラーソーダーシステムは、風速、風向、境界層、乱流パラメータの鉛直プロファイルを、Sodarモデルに応じて平均高度400m、700m、3,000mまでの範囲でリモート測定が可能です。
現在、風力測定システムはアラスカから南アフリカまで世界55カ国以上で、風力エネルギー、空港、海上・陸上測定、気象、軍事など様々な用途に使用され、長年にわたり、卓越性と最高の革新的技術で業界全体の評判を得てきました。